胚培養士掲示板
卵子や精子に関する質問、培養室についてのご質問に当院胚培養士がお答え致します。
ももねえ(女性:兵庫県)様から
2009.06.15
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胚盤胞になる確率について
治療歴3年です。40歳超えてからということ、誘発が自然に近い方が合っているようで卵はGⅠ~GⅡですが数が1つです。今までAIHで2回(うち1回は妊娠反応でるも心拍なし)体外受精では受精後2~3日目にフレッシュで2回、内膜を整えるために凍結して移植しましたがすべて駄目でした。この頃は排卵が毎回ではなくなりました。胚盤胞をもどすと確率は上がるとの事ですが、私のように1個で毎回でない場合、胚盤胞になるのを待つと胚盤胞になることが大変なのでならないことも多いのでと話がありました。受精して胚盤胞にまでなるのは確率的にどれくらいでしょうか?誘発して多数卵が採れる方のお話はよく伺うのですが、1回に1個がやっとしかも毎回でなく40歳超えているなら胚盤胞を待つより移植する方がよいのでしょうか?
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胚培養士より
お答えします。
Q1.受精して胚盤胞にまでなるのは確率的にどれくらいでしょうか?
A1.当院では、採卵から5日後に胚盤胞に到達する確率については、受精卵の約1/3個と説明しています。
Q2.誘発して多数卵が採れる方のお話はよく伺うのですが、1回に1個がやっとしかも毎回でなく40歳超えているなら胚盤胞を待つより移植する方がよいのでしょうか?
A2.胚盤胞移植を実施する主目的は、胚を厳選することにあります。1回の採卵で1個の受精卵ができて、特に選別して移植する必要がない場合には、胚盤胞移植を実施することで妊娠の可能性自体が上昇するとまでは言えないと思いますし、このような場合には、胚盤胞に育たず移植そのものが実施できない場合も充分に考えられます。
移植ができない場合には、もちろん妊娠が成立する可能性はゼロですので、それならどんな状況であれ、せめて移植だけはしておきたいというお考えであれば、胚盤胞移植する意味はあまりないと思われます。
一方で、体外で胚盤胞に育たないような胚は早期に移植していても妊娠の可能性は極めて低いとも考えられます。あまり期待のもてない胚を移植したくないというお気持ちが強いのでしたら、たとえ受精卵が1個であっても胚盤胞まで培養して、胚盤胞に到達した場合のみ移植を実施するという考え方もあると思います。
どちらがご自分の考えにあうかよくお考えのうえ、決断されると良いと思います。