胚培養士掲示板
卵子や精子に関する質問、培養室についてのご質問に当院胚培養士がお答え致します。
gg(女性:大阪府)様から
2008.10.19
-
受精卵に対する抗体の検査の件です。
診察の際に聞きそびれてしまいまして・・・お電話で聞くのもお忙しいと思いますので、こちらでご質問させていただきます。
お忙しいところ失礼します・・・。
体外受精一回目が上手くいきませんでした。
もともと抗精子抗体があると言われての体外受精なのですが、
精子に対する抗体以外にも受精卵に対する抗体が存在するとさきほど
ネット上で知りました。その場合、着床障害の原因になるとの内容です。
以下です。
*************
免疫異常
胎児は母体にとって異物なので妊娠すると拒否反応が起こるはずです。しかしこの拒否反応を抑える遮断抗体がはたらいて、胎児を守っていると考えられています。しかしこの遮断抗体がはたらかず、母体の免疫異常があると着床障害の原因になることがあります。リンパ球混合培養試験(MLC:Mixed Lymphocyte Culture)やNK細胞活性の検査により異常の場合にはリンパ球輸血をおこなっております。
その他にも、自分自身に対する免疫反応(自己抗体)が存在すると、着床ばかりか流産の原因となります。また、血小板が凝集しやすい傾向の方も着床に支障をきたすことがあります。このような場合には異常に応じた対策が必要となります。
*****************
こちらの病院では、このような検査はどの時点で行われるのでしょうか?
ちょっと読みかじっただけなので、間違った認識かもしれません。
お忙しいところ申し訳ございません。 -
胚培養士より
お答えします。私は医師ではありません。ご了承ください。
今回、本当に結果が出なくて残念でした。ただ、抗精子抗体があるからといって、胚の受容に関する免疫異常があるとは限りませんし、上記の検査および治療につきましては、重度の着床障害、あるいは流産の原因として免疫異常が疑われた時点で実施を検討することが多く、通常は、1度の体外受精で結果が出なかった方すべてが必要とするわけではないと思われます。また、リンパ球輸血の有効性につきましても諸説あり、実施にあたっては慎重な議論を要します。
もちろん、良好胚を何度移植しても着床しない、あるいは、流産を繰り返すといった経過をたどった場合には、今後検討する可能性もあるかも知れません。担当医師にご確認ください。