医療法人 越田クリニック

胚培養士掲示板

卵子や精子に関する質問、培養室についてのご質問に当院胚培養士がお答え致します。

ジョンソン(女性:大阪府)様から

2009.02.24

  • 数の多い採卵と流産について

    はじめまして
    他院にて治療中ですがどうぞよろしくおねがいします。
    夫の乏精子症で顕微受精をいたしました。(私は問題なし)
    19個採卵しOHSSになってしまったため、胚盤胞5つと初期胚6つを凍結しました。
    落ち着いたときに、1個・1個・2個、計3回胚移植しました。
    結果は、1回目→9週で流産
        2回目→陰性
        3回目→試験紙は陽性だが、HCGが低く妊娠成立せず
    通常なら流産はよくある事だし、まだまだ残りがあるのでがんばりましょう・・・
    で終るのでしょうが、私は残り7つも妊娠せず最悪流産で終るのではないかと思ってます。
    なぜなら、アンタゴニスト法で19個採卵したときに卵胞の大きさにずいぶん差がありました。通常採卵は数ある中の卵胞が18mm~20mm?くらいでHCGなどを注射して採卵するんですよね?
    ってことは大きい順から数個ほどは、成熟した卵胞かもしれませんがそれ以下は未熟卵である可能性が高い。
    そこへICSIして一見グレードの高い見た目の良い胚が出来たとしても、中身は胎児になるだけの力もなくせいぜい10週くらいまでしか成長できない胚なのではないか?と、思うのです。
    確立的に言えば、その中にも成熟してICSIした「当たり」の胚もあると思うのですが、移植胚の数が多ければ当たりの確立も低く見た目よくても未熟な卵を戻しつづけることになると思うのですが?
    採卵数が多い患者のICSIについて、胚培養士さんのお考えをおきかせください。
    また私の場合、生理周期も乱れずいつも予備卵胞が15~20個以上でピルを飲んでも減らず、誘発をかけると均等に大きくならず大きさにばらつきがでてしまうのですがどうしたら良いでしょう?
    従来の排卵誘発以外(アゴニスト・アンタゴニスト)に何か生児を得られる良い方法か新しい方法などご存知でしょうか?
    良ければ教えてください。
    よろしくお願いします

  • 胚培養士より

    私は医師ではありませんのでご了承願います。以下お答えします。
    Q1.通常なら流産はよくある事だし、まだまだ残りがあるのでがんばりましょう・・・で終るのでしょうが、私は残り7つも妊娠せず最悪流産で終るのではないかと思ってます。なぜなら、アンタゴニスト法で19個採卵したときに卵胞の大きさにずいぶん差がありました。通常採卵は数ある中の卵胞が18mm~20mm?くらいでHCGなどを注射して採卵するんですよね?ってことは大きい順から数個ほどは、成熟した卵胞かもしれませんがそれ以下は未熟卵である可能性が高い。そこへICSIして一見グレードの高い見た目の良い胚が出来たとしても、中身は胎児になるだけの力もなくせいぜい10週くらいまでしか成長できない胚なのではないか?と、思うのです。確立的に言えば、その中にも成熟してICSIした「当たり」の胚もあると思うのですが、移植胚の数が多ければ当たりの確立も低く見た目よくても未熟な卵を戻しつづけることになると思うのですが?
    A1.卵巣刺激をした場合、通常卵胞の大きさはすべて同じにはなりません。また、未熟卵は生物学的に受精できませんので、未熟卵にICSIはしていないと思います。ICSI後、受精して分割してきたのなら未熟卵ではなかったことは明らかです。
    それと、小さな卵胞から採れた質のよくない卵子由来の胚であれば、まずは、胚盤胞にもなりにくいという考えで良いようにも思います。前回の採卵で5個の胚盤胞が得られているのであれば、採卵自体にさほど問題があったとは思わなくても良いのではないでしょうか。
    ただ、すでに3回の胚移植を実施したとのこと。治療の進め方からいいますと、おそらく過去の3回は良い胚から優先的に移植をしていると思いますので、現在残っている凍結胚については、いままで移植したものよりも質が劣る可能性はあるのかも知れません。
    Q2.採卵数が多い患者のICSIについて、胚培養士さんのお考えをおきかせください。
    A2.“採卵数が多い"というだけで胚の質が悪いとは思いませんし、流産しやすいとも思いません。もちろん、採卵数が多くても質の良い胚ができない場合はありますが、通常は、採卵数が多い場合には積極的に受精を成立させ、そのなかから胚盤胞まで培養するなどして、胚を厳選して移植すれば問題ないと考えます。
    実際、当院においても、採卵数が多くOHSS予防のために全胚凍結される患者様は、一度の採卵(現在原則1個の胚移植なので、複数回胚移植をするという前提です)で半数以上の方が妊娠・出産されています。この結果から言いますと、むしろ、たくさん卵子が採れて、複数個の胚盤胞が得られる患者様は、妊娠しやすいグループに入ると思います。
    Q3.また私の場合、生理周期も乱れずいつも予備卵胞が15~20個以上でピルを飲んでも減らず、誘発をかけると均等に大きくならず大きさにばらつきがでてしまうのですがどうしたら良いでしょう?
    A3.先述しましたように、通常、卵巣刺激した場合は卵胞の大きさには多少のばらつきが出ますし、もともとジョンソン様は卵胞が育ちやすい体質なのでしょう。このような場合、卵胞が育ちやすいこと自体が問題というよりも、OHSSに気をつけながら安全に治療をするということが一番重要なのかも知れません。
    Q4.従来の排卵誘発以外(アゴニスト・アンタゴニスト)に何か生児を得られる良い方法か新しい方法などご存知でしょうか?良ければ教えてください。
    よろしくお願いします
    A4.ただ、アゴニストやアンタゴニストを用いてもなかなか結果がでない場合には、特に目新しい方法でもありませんが、クロミッドだけの低刺激を試してみるとか、あるいは、hMG製剤の量・種類をかえてみることで奏功するケースはあるのかも知れません。この件につきましては、担当医師によくご相談いただくと良いでしょう。