医療法人 越田クリニック

胚培養士掲示板

卵子や精子に関する質問、培養室についてのご質問に当院胚培養士がお答え致します。

ちえみ様から

2015.08.26

  • 他院にて治療している、以前ご質問させて頂きました者です。またご質問させて頂きたくお願いします。
    クロミッド内服による自然周期で、昨日2個採卵出来ましたが、1つは変性卵、1つが成熟卵でした。
    後者を振りかけ法で受精させた結果、多精子受精で培養中止となりました。
    同クリニックでのこれまでの成績は、一つ前の採卵で成熟卵2個(振りかけ法にて1個胚盤胞まで育て移植、1個は多精子受精)、その前は未成熟卵1個採卵(振りかけ法にて初期胚で移植)。
    多精子受精が続いているのは、卵子の機能低下が考えられるとの理解で良いのでしょうか?
    これまで精子に特段の問題が無かったため、振りかけ法を選択して来ましたが、採卵個数も1個と限られているため、次回は顕微授精をした方が良いと思われますか?
    心配なのは、卵子の機能が低下しているところに顕微授精で受精に至ったとしても、良い胚に育たず初期流産に終わるかもしれないという点です。
    そのような懸念はありますでしょうか?

  • 胚培養士より

    お答え致します。


    従来の体外受精法(ふりかけ)の場合精子が2個以上受精してしまった結果、異常受精を起こすというデメリットがあります。


    異常受精が起きる原因のひとつに卵子機能の低下もあり、本来精子が1個受精すれば卵子の機能としてそれ以上の精子は受精しなくなるのですが、その機能に異常がある場合は多精子受精が起こります。


    精液状態に問題がない場合、卵子の質が関わっているのではないかと考えられます。


    多精子受精を防ぐという点では、顕微授精をお勧めします。


    ただし精子1個を授精させる顕微授精でも数%ですが異常受精(多核受精)が起こりえます。
    流産については、卵子の機能低下というよりも胚の染色体異常が関わっているため、受精させる方法が従来の体外受精法(ふりかけ法)であっても顕微授精であっても、流産に卵子の機能低下は影響しないと考えられます。


    また染色体異常に関しては年齢の考慮が必要となってきます。


    ご質問ありがとうございました。