医療法人 越田クリニック

胚培養士掲示板

卵子や精子に関する質問、培養室についてのご質問に当院胚培養士がお答え致します。

カナ(女性:大阪府)様から

  • 凍結融解胚移植におけるアシステッドハッチング(AHA)の方法と妊娠率への影響

    凍結融解胚移植の前に、移植胚に対するアシステッドハッチング(AHA)は妊娠率向上に有用ですか? 方法や効果について教えてください。

  • 胚培養士より

    胚は「透明帯」と呼ばれる外殻に包まれています。体外受精・胚移植において、胚が子宮内膜に着床するためには、胚移植後にこの透明帯を破って孵化(ふか)することが必要です。しかし、さまざまな要因により透明帯が破れず、自然な孵化が起こらないことで着床に至らない場合があると考えられています。
    このように、孵化が正常に行われない可能性があると予想される場合に、胚移植前にレーザーなどを用いて透明帯を薄くしたり、部分的に穴を開けたりして胚の孵化を助け、子宮内膜への着床を促す技術をアシステッドハッチング(AHA)といいます。
    着床率・妊娠率に対する効果については、多くの研究により、AHAを行うことで効果が期待できる症例と、あまり効果が期待できない症例があることが示されています。特定の条件下では妊娠率が向上する可能性がありますが、すべての方に有効な治療ではないと考えられています。
    AHAは1990年代から行われるようになった技術で、日本では症例を選んで実施することが望ましく、全例に行う標準治療ではないという考え方が主流です。効果が期待できる症例に対しては保険適用となります。一方、欧米ではAHAの有効性が明確ではないとして、一般的には推奨されていません。
    効果が期待できるとされる症例は、以下のようなケースです。
    ① 反復着床不全
    ② 高年齢(38~40歳以上)
    ③ 凍結融解胚移植
    ④ 透明帯が厚いと判断された胚
    ただし、以下のようなデメリットも報告されています。
    ① 胚に物理的なダメージを与える可能性がある
    ② 一卵性双胎のリスクがわずかに増加する可能性がある
    ③ 不要な介入となる場合がある
    このため、AHAの適応は慎重に判断することが重要です。
    当院では、胚移植当日に医師と培養士が移植予定の胚を確認し、AHAを行った方がよいと判断される症例については、こちらからご提案しています。