医療法人 越田クリニック

卵子凍結

卵子凍結

卵子凍結とは、将来の妊娠に備えて若いうちに質の良い卵子を採取し、凍結保存しておく方法です。

卵子凍結とは

卵子は年齢を重ねると共に老化し、老化した卵子では妊娠率が下がります。実際30代半ばを過ぎるあたりから自身の卵子ではだんだんと妊娠が難しくなってくることがわかっています。自身の卵子を若いうちに採卵し凍結保存することで、若いときの生殖能力を保ったまま卵子の長期間の保存が可能になります。いつかは子供を産みたい、でも今は仕事に打ち込みたい、まだパートナーがいない、このような女性が対象となります。

日本産科婦人科学会は2013年にガイドラインを発表し、健康な女性が行う卵子凍結を「ノンメディカルな卵子凍結」とよび、一般的な治療として容認しています。

参照 「ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ」(日本産科婦人科学会のホームページ)
https://www.jsog.or.jp/medical/865/

凍結卵子を使って妊娠をのぞむ場合

凍結卵子を使ってパートナーとの間に妊娠をのぞむには、凍結卵子を融解し体外受精を行い、子宮の中へ胚を移植することが必要です。

妊娠のために子宮内に戻すのは卵子ではなく胚です。

胚とは凍結卵子を融解してパートナーの精子との間で受精が成立して、受精卵が細胞分裂を繰り返し子宮に移植できるまでたどり着いた状態を言います。
すべての凍結卵子が胚までたどり着く訳ではありません。
いくつの卵子が凍結できたら妊娠が望めるか凍結した卵子で妊娠をのぞむ場合、妊娠できる可能性は採卵した時の年齢と採卵した卵子の数によって変わってきます。数多くの卵子を凍結しても100%の妊娠、出産を約束するものではありません。

以下、年齢別・卵子数別の赤ちゃんをもてる確率を推測した論文のデーターです。

■年齢別・凍結卵子数別の、少なくとも1人の赤ちゃんをもてる確率
10個 20個 30個 40個
28歳 80% 94%
34歳 75% 91% 95%
37歳 53% 75% 87% 92%
40歳 30% 52% 65% 76%
42歳 21% 36% 49% 60%
44歳 7% 15% 21% 26%

出典: RH Goldman,et al. Hum Reprod.32.853-859,2017

凍結保存の方法

採卵後に卵子を特殊な溶液に浸した後、保存用ストローに入れ −196℃の超低温の液体窒素中に浸して凍結し保存します。
−196℃では、ほとんどの細胞の化学変化が起こらないため、何十年も状態を変化させることなく保存することができます。

当院は凍結卵子の保管先として「卵子凍結保管サービスGrace Bank(グレイスバンク)」と提携しております。Grace Bankはさい帯血保管を行うステムセル研究所にあり、ステムセルの保管管理システムは最新のモニタリング機器と厳重なセキュリティ設備で患者様の大切な卵子をお預かりします。
将来、凍結した卵子を使って妊娠(体外受精)を望まれる際は凍結卵子を移送して、当院以外の全国のクリニックでも不妊治療を受けることができます。

Grace Bank(グレイスバンク) https://gracebank.jp

卵子凍結の実際(スケジュール)

① 初診

まずご相談に受診して下さい。(予約制)
ご希望があれば同日に事前の検査を行います。

② 排卵誘発(月経2〜4日目から開始)

多くの卵子が採卵できる方が採卵あたりの妊娠率は高いといわれていますので、1回の採卵で複数の卵子を得る方法を提案しています。
排卵誘発剤を使用する事で1回の採卵で数個から10数個程度の卵子を得ることが可能となります。

排卵誘発開始から採卵まで3〜4回の診察が必要です。
希望月の月経2−4日目から排卵誘発を開始します。
月経2〜4日目から採卵の2日前までの約8〜10日間、連日排卵誘発剤の注射を行います。
ご自宅での自己注射が可能です。
③ 採卵当日(月経13〜15日目)
当院では朝8時〜9時に行っています。(日曜日以外)
採卵は静脈麻酔下で行いますので痛みはありません。
採卵の所要時間は10分程度です。
採卵術後は回復室で2時間程度休んでもらい、その後帰宅していただけます。
採卵の数時間後に採卵した卵子を凍結し、保存します。
④ 採卵後の診察(採卵後2−5日後)

採卵後2−5日後に採卵後の診察を行い、卵子凍結の治療は終了です。

卵子凍結のデメリット

  • 卵子凍結は将来の妊娠、出産を100%約束するものではありません。
  • 妊娠しにくくなる理由は、卵子の側と女性の身体側それぞれの要因があります。卵子凍結は卵子の時間を止めることはできますが、女性の身体側の時間を止めることはできません。
  • 卵子凍結後に年齢が高くなってから妊娠・出産を希望されると母体にも赤ちゃんにも様々なリスクが高まります。

卵子凍結の費用

初診〜採卵終了までの全費用、総額
約30〜40万円 (排卵誘発薬剤や凍結卵子数により費用は異なります)

卵子凍結管理は「卵子凍結保管サービス Grace Bank(グレイスバンク)」と提携しております。

Grace Bank
初期費用 50,000円(税込55,000円)
保管費用 35,000円/年(税込38,500円/年)
3,500円/月(税込3,850円/月)

大阪府池田市では将来の妊娠や出産に備えるための卵子(未受精卵子)凍結に係る費用を助成しています。

卵子凍結助成の対象・期間等については大阪府池田市のホームページをご確認ください。

卵子凍結費用助成事業(大阪府池田市)
https://www.city.ikeda.osaka.jp/soshiki/kodomo/k-mirai/18196.html