男性不妊治療の種類
〈治療の種類〉
- 1. 薬物療法
薬物療法の効果は、個人差が大きいですが、軽度の乏精子症などには効果がある場合もあります。
薬物療法には、内分泌系に作用するホルモン療法と、非ホルモン療法にわけられます。- 2. 外科的療法
◎精索静脈瘤
精索静脈瘤は、乏精子症、無力精子症などの原因の一つと考えられており、手術療法が有効です。
高度の乏精子症では、精索静脈瘤手術をしただけでは、根本的な治療にはなりませんが、病態の悪化を防ぐという意味で有効であるといえます。
手術は、静脈瘤のできている静脈血管だけを塞ぐことによって、他の血管の血流がよくなることを期待して行います。術式には、低位結紮術、高位結紮術などがあります。- 3. 精路再建術
精路(精子の通り道)がなんらかの原因で詰まっている場合、精管どうしをつなぎ合わせたり、精管と精巣上体管をつなぎあわせることによって、精路を再建する方法をいいます。一般に、顕微鏡下での手術となります。パイプカットなどにより、切断された精管どうしをつなぐ場合、手術成績はかなり良好であるといわれています。
- 4. 特殊な精子回収法
◎精巣上体精子採取術(MESA)
精索静脈瘤は、乏精子症、無力精子症などの原因の一つと考えられており、手術療法が有効です。
高度の乏精子症では、精索静脈瘤手術をしただけでは、根本的な治療にはなりませんが、病態の悪化を防ぐという意味で有効であるといえます。
手術は、静脈瘤のできている静脈血管だけを塞ぐことによって、他の血管の血流がよくなることを期待して行います。術式には、低位結紮術、高位結紮術などがあります。◎精巣内精子採取術(TESE)
無精子症において精巣上体精子が回収できない場合や、他の治療が無効な射精不全の場合に、直接精巣から精子を採取する方法です。
現在最も有効な手術方法は、顕微鏡下精巣精子採取術(マイクロダイセクション法)と言われています。
採取した精子は精巣上体精子と同様に顕微授精に用いられます。- 5. 前立腺マッサージ法
この方法も、逆行性射精の場合に用いられ、直腸検診と同じ要領で前立腺を刺激する方法です。脊椎損傷の方に有効な場合があります。この方法は電気射精法にくらべて簡便であるのが利点です。
〈性機能障害と治療〉
- 1. 勃起障害(ED)
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性交時に勃起しないEDには、心理的要因と、身体的要因があります。
◎心理的要因
心理的な要因の一つにストレスが挙げられます。
初体験の時期が遅かった人や、性に対して奥手な人にとっては、性行為自体が極度のストレスとなり、勃起が障害されます。また、心理的な要因には、深層心理にまでおよび、精神科の専門治療が必要な場合もあります。
治療としては、専門医のカウンセリングにより自分の性生活を見直しながら、性交渉の自信をつけていく方法が取られます。うまくいった経験が積み重なっていけば、おのずと改善されていきます。◎身体的要因
身体的なものとしては、陰茎の勃起に必要な血管や神経、ホルモンに異常がある場合があります。特に、動脈硬化などで、陰茎への血流が悪くなっていると、充分に勃起できません。
よって、薬物療法が中心になります。近年、バイアグラの登場により、治療成績は大幅に改善しました。
しかし、ごくまれに副作用が出る場合があるので、服用には、専門医の診察が必要です。 - 2. 射精障害
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勃起には問題がなくても、射精ができない状態を射精障害と呼んでいます。
射精障害の内訳は、膣内射精不能、早漏・遅漏、逆行性射精などが大部分を占めています。◎膣内射精不能
膣内射精不能においては、マスターベーションで射精ができても、膣内では、射精できないケースが半分以上を占めます。
原因としては、過ったマスターベーションや性交に集中できないことが挙げられます。
過ったマスターベーションとは、布団や手のひらに強くこすりつけることなどを指します。
こういったマスターベ-ションを頻回に行っていると、マスターベーションの刺激が強すぎて、膣の刺激では射精が起きにくくなります。治療としては、正しいマスターベーションを訓練して、膣の刺激でも射精するように指導します。性交に集中できない場合は、性的なイメージを空想して集中力を高めます。
男性不妊の検査
- 1. 問診
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問診の内容
- 避妊期間
- 既往歴(これまでの病歴)
- 不妊期間
- これまで使用した薬剤(抗癌剤など)
- これまでの妊孕(にんよう)歴
- 職業歴(高温環境、重金属、放射線被曝との関連)などについて
- 性欲・勃起・射精などの性機能
- 2. 理学的検査
生殖器、髪の毛、陰毛の状態、陰嚢内容、精巣容積などについて調べます。
また、陰嚢部の触診によって、精巣上体の状態、精巣・精管・副性器の腫瘍の有無、 精索静脈瘤の有無を調べます。特に、精巣容積は造精機能をよく反映し、10ml以下なら造精機能障害が疑われます。- 3.精液検査
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一般的には、48時間以上、一週間以内の禁欲期間をおいたあとに、 マスターベーションで採取した精液を検査に用います。 精液量、精子濃度、運動率、奇形率、精子の前進運動率について調べます。
≪下限基準値≫ (WHO 2010年)内容 下限基準値 精液量 1.5ml以上 pH 7.2以上 精子濃度 精液1ml中に精子が1500万個以上ある 総精子数 3900万個 精子運動率 運動精子が40%以上、前進運動精子が32%以上 精子生存率 精子の生存率が58%以上 精子形態正常率 正常形態精子が4%以上 白血球 精液1ml中に白血球が100万個未満 濃度が低い、運動率や運動性が低い、奇形率が高いなどの場合
⇒人工授精や体外受精へと治療方法を変更することがあります。
・精液が膀胱に入ってしまう逆行性射精の場合
⇒尿中から精子を回収して利用することが可能です。