2015.06.17 看護師便り
話すことの効果 第5回「会って話すことの大切さ」
当院では患者様お一人お一人に最も適した治療を目指す上で、診察だけでなく、心の面もサポートさせていただけるよう、心理カウンセリング、看護相談、グループトークの場を設けています。
今回は特にグループトークについて、連続してお届けしています。
グループトークは、みなさまが疑問に思っていることや、聞いて欲しいことなど、なんでもOKの場です。
参加してくださった方の心が、来られた時より少しでも軽くなってお帰りいただけたら、との想いで開催しています。
グループトークを開催して2年が過ぎましたが、参加された患者さまの変化を目の当たりにし、話すことの効果を多くの方に知っていただきたいと思いました。
患者さまの声を一部抜粋いたしました。
みなさん口をそろえて仰るのが「気持ちがとても楽になった」ということです。
話すことの効果
グループトークに参加されているみなさんは「同じ目標をもった同志」。そこには共感・共鳴が生まれます。
大人になると、自分の話を思う存分、誰かに聞いてもらうという機会はどんどん減っていきますが、話すことでどんな効果が生まれるのでしょう。
コーチングやカンセリングの場ではこれだけの効果が生まれると言われています(科学的なデータではありません)。
自信が生まれる モチベーションが上がる パワーが出る 発想が広がる 自分の本心が見える 視点が変わる 現状が明確になる 理想が明確になる 問題が見えてくる エネルギーが上がる |
考えが整理される 新しいアイディアが生まれる 自己理解が増す 気持ちが整理される 意志がはっきりする 覚悟が決まる ストレスが減る 気分が明るくなる 自分のことを客観的に見ることができる 安心する |
自分の気持ちを言葉として出すことによって、精神的ストレスが軽減し、妊娠に至るケースも数多くあります。
しかし、効果は科学的には実証できていません。
そんな中、先日興味深い発表がありました。
学会発表で得たこと
日本生殖医学会学術集会講演会の「不育症治療に必要なカウンセリングと漢方療法」というテーマで、富山大学産婦人科の齋藤 滋先生の講演を拝聴いたしました。
流産を繰り返される方の中で、流産の原因が明らかにならなかった方を対象に、カウンセリングで精神的負担が緩和された方とそうでない方を比べたところ、サポートを受けた方の出産率が明らかに高かったという結果でした。これはTender Loving Care(TLC=優しく愛情のこもったケア)であり、ヨーロッパの研究チームが、それまでの信頼度の高い研究報告をひとつにまとめ、習慣性流産治療ガイドラインを発表し、最も効果があったとされています。
これは、不育症の方だけでなく、不妊症の方へのケアとしても大切である、と言われていました。私も大切であると強く感じています。
患者さまの精神的ストレスが少しでも軽減でき、安心して治療が受けられるようスタッフ皆で引き続き取り組んでいきたいと思っています。
「前向きにがんばりたい。でも先が見えなくて不安・・・」
懸命に治療をがんばっている皆さまが、一人で抱え込まずに安心して気持ちを言葉に出せる。グループトークがそんな場所になれば嬉しく思います。
インターネット上では不妊治療についての様々な情報が溢れ、体験談もブログなどで公開されています。それらで解決できることもあるかもしれません。しかし、実際に自分の言葉で話し、自分の耳で聴き、肌で感じていただくことで得られるものがあると思っています。
第1回「最初は乗り気じゃなかったです」
第2回「驚きの連続」
第3回「本当によかった・・・」
第4回「グループトークを振り返って思うこと」
第5回 藤島師長解説「会って話すことの大切さ」