2026.01.22 トピックス
不妊・不育症に関する着床前遺伝学的検査の実施状況|学会報告(2023)
2025年12月に、日本産科婦人科学会より、2023年に実施された不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR)の実施状況が報告されました。
本記事では、そのうちPGT-Aの集計結果を要点整理します。
出典(報告書)
2023年不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査実施状況報告(公益社団法人 日本産科婦人科学会)
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/2023PGT-A・SRhoukoku.pdf
日本産科婦人科学会によるPGT-A実施状況報告(2023年)
■本報告の対象
不妊症および不育症(反復着床不成功・反復流産・死産)に悩むカップル
■調査期間
2023年1月1日〜12月31日
承認実施施設において、PGT-Aは228施設(当院も含む)で実施されました。
■2023年 PGT-A実施状況(概要)
・施行施設数:228施設
・新規同意取得数:3,535件
・検査実施胚数:15,545個
■PGT-Aの判定結果(A〜D)
・A判定(移植に適した胚):3,411個(約22%)
・B判定(移植可能だが慎重な判断が必要):1,355個(約8.7%)
・C判定(移植不適格):10,613個(約68%)
・D判定(判定不能):166個(約1%)
■妊娠率・流産率(報告値)
・胚移植周期数:2,894件
・妊娠率(移植周期あたり):56%
・流産率:17%
※上記の妊娠率・流産率は、報告書に記載の「胚移植周期数」に基づく集計です。
年齢や治療歴、胚の状態などにより結果は異なります。
■まとめ
着床前遺伝学的検査(PGT-A)が学会の管理のもとで実施され、毎年の報告が義務づけられたことで、全国規模のデータが集まり、結果が見える形になってきました。これは、現状把握の面で重要な進展といえます。
今回の報告では、検査した胚の約68%が「移植には適さない」と判定されました。このことから、PGT-Aは、胚の評価・選択を考えるうえで参考となる情報が得られる可能性が示唆されます。
一方で、妊娠率(移植周期あたり)は56%、流産率は17%と報告されていますが、PGT-Aは結果を保証するものではありません。適応や治療方針については、主治医と十分に相談することが重要です。
今後さらに多くのデータが集まることで、どのような方にこの検査が適しているのかが、より明確になっていくと考えられます。将来的には、適切に用いられる有用な検査として位置づけが確立され、保険適用となることが期待されます。
医療法人 越田クリニック 院長 山田 成利
■出典
日本産科婦人科学会「2023年 不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査実施状況報告」
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/2023PGT-A・SRhoukoku.pdf