医療法人 越田クリニック

不妊治療トピックス

《 漢方コラム 》

2017.11.30 漢方コラム

精神的ストレスを緩和する

今年8月27日旭川で行われた産婦人科漢方研究会に参加してきました。 発表演題は、「不妊治療中の女性が受ける精神的ストレスに対する大柴胡湯エキスの有用性」です。

東洋医学では、精神的ストレスを溜めることは、胃腸の働きや子宮卵巣の働きなど全身に影響すると考えられています。実際に、不妊治療に専念しているときにはなかなか妊娠せず、思ってもいない時に妊娠することはよく耳にしたことはありませんか?
漢方外来では、問診や診察で精神的ストレスが強いと判断すれば、早めに漢方薬で緩和するようにしています。

今までに、不妊治療だけでなく、仕事、子育て、月経前症候群、更年期など様々な女性のストレスに四逆散エキスが有効であることを報告してきました。

四逆散エキスは約1ヶ月の服用で、7~8割の女性が何らかの効果を実感していただくことができるのですが、時々、四逆散エキスでは効果が出ない症例もあります。そこで従来、女性にはあまり使われない大柴胡湯エキスを使用してみたところ、14人のうち11例の女性で有効であり、期待以上の効果に驚きました。焦燥感や便秘、肩こり、頭痛、倦怠感や不眠などが改善したり、悲観的な考えがなくなり前向きに考えられるようになったなど、うれしい声をいただきました。
結果が出ず不妊治療をやめようかどうか迷っていた女性が、前向きに考えられるようになり、それからすぐに妊娠され、驚いたケースもあります。

編集後記

ストレスを緩和する事が直接妊娠につながるかどうかはわかりませんが、リラックスして不妊治療を受けていただくことが大事だと考えています。精神的ストレスを緩和する漢方薬は他にもあり、一人ひとりに合った処方を診断しますので、関心のある方は、是非漢方外来でご相談ください。