医療法人 越田クリニック

不妊治療トピックス

《 漢方コラム 》

2016.08.07 漢方コラム

夏の冷え対策と夏バテ解消

夏の冷え対策

暦の上では立秋ですが、猛暑の夏がとうとうやってきました。外では汗をたくさんかき、電車や職場の冷房で、汗がひくのと共に体が冷えてしまい、体調が崩してしまう方も多いと思います。
まず、寒冷にさらされないこと、強い冷房を避けること、羽織もので調節する。冷水・氷水をなるべく飲まない、体を冷やす生野菜や果物を多く取りすぎないなどの心がけが大切です。冷え対策を行い、体調を整えていきましょう。

頻用される温める漢方薬

  • 内臓を温める:
    人参湯・大建中湯・呉茱萸湯など
  • 四肢を温める:
    当帰四逆加呉茱萸生姜湯
  • 浮腫を除いて温める:
    当帰芍薬散・真武湯・苓姜朮甘湯・五積散など
  • 瘀血を除いて温める:
    桂枝茯苓丸・桃核承気湯・腸癰湯など
  • 老化予防:
    八味地黄丸・牛車腎気丸・真武湯・苓姜朮甘湯など

冷房病の特効薬は五積散。血の巡りを良くし、ほんのり温めて、冷えによる諸症状に抜群に有効です。 浮腫や便秘の改善は、冷えをより早く改善するために大切です。 たくさん並べてしまいましたが、漢方薬は詳しい問診や診察で選択します。

夏バテ解消

日本の夏は蒸し暑く、特有の症状が出やすくなります。 高温多湿のため、皮膚の表面から汗が蒸発しづらく、つまり新たに汗が出にくくなり、皮下に水分が貯まる(浮腫)ので、体が重くなります。つまり、代謝の低下のため、むくみと冷えを訴える女性も多く見受けられます。 また、水分の過剰摂取で、胃もたれ、食欲不振、消化不良になる方も多いです。

  • 1.初期;暑気あたり
    まずはクーリング(冷却)
    漢方では越婢加朮湯や黄連解毒湯、三黄瀉心湯なども有用です。越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)は体を冷やし、利尿作用があります。
  • 2.次期:多量の汗で脱水気味
    水分だけでなく、塩分補給(天然塩や梅干しなど)することが大切です。また、スポーツドリンクの服用もよいでしょう。 この時期の漢方は、体の水分を保持する白虎加人参湯や炙甘草湯、麦門冬湯なども有用です。白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)は服すると、のどの渇きが収まり、暑さがとれ、多量の冷たい水分を摂取しすぎるのを防ぎます。
  • 3.慢性期:夏バテ
    暑さと発汗、食欲不振で、徐々に体力が落ちてきます。

    • *空腹感はあるが食べる気がしない、みぞおちでチャポチャポ音がする人には、 食前に平胃散(へいいさん)を1包服用すると、胃腸が即座に動き、食べれるようになります。 食欲不振が続けば、免疫力が落ち、疲労感から抜け出しにくくなります。
    • *いくら水分をとってものどが渇く・体が重い・むくみっぽい・軟便があるなどには五苓散(ごれいさん)が最適です。
    • *夏ばて状態が続くと、少しの暑さでも疲れやすく、疲弊します(夏負け)。 代表薬は清暑益気湯(せいしょえっきとう)です。 余分な熱を冷まし、水分を保持します。食欲をアップし、元気にします。 漫然と服用せず、上手に漢方を使い分けしながら、体調を整え、暑い夏を乗り越えましょう。